ジブリ実験劇場「ON YOUR MARK 」にみる私達の道④

ニュース体験.jp / 社会 , / 公開日:2015/07/30

次に、あのトレーラーに乗っている2人は何者かということなのですが

次に、あのトレーラーに乗っている2人は何者か、ということなのですが、実は多分、誰でも良かったんです。イントロの意味は前述の通り、前提表示です。アニメージュVol.206 で監督が「放射能注意のマークのついたトラックを見て、 何となくわかってもらえればいいと思うんです。地上には放射能があふれていて、もう人間は住めなくなっている。 でも緑はあふれていて、ちょうどチェルノブイリの周囲がそうだったようにね。自然のサンクチュアリ(聖地)と、化している。で、人間は地下に都市を作って住んでいる。」と言っているとおりです。

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本来車を走らせる必要すらなかったかもですが、前提が前提として機能しなければいけないですから、強調でしょう。放射能標識だけよりも、放射線防護対応の車を使って移動するんです。では誰でもないのか?と言われれば、私はこう答えます。あれはあの2人(チャゲ的彼と飛鳥的彼)でしょう。なんらかの用で地上世界を走っているシーンでしょう。なぜそう考えるかですが、もちろん普通に考えればおかしいです。あの2人はイントロ後の展開にもあるとおり「POLICE」、一警察です。担務においても犯罪を取り締まるような仕事をしており、そのような警察がどのような用で放射能標識を付けたトレーラーで「禁じられた地上」に出るのか。しかもムービー終盤の地下都市から地表への通路の状態を見てみても、ほぼ地表はアンタッチャブルな世界、特に「EXTREME DANGER」の先に一警察が出て行くなど到底ありえないような状態に思います。これについては先に下記のシーンを見てください。

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はっきりと顔が見える距離ではないですが(オープニングでの距離感は解釈の余地を残すため意図してそうしているのだと思います)、白場などの色味が同じような位置や体裁であることからも、非常に高い関連性(同じ人間でありそうなこと)が伺えます。

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チャゲ的彼は常にヘルメットをかぶりサングラスをかけているため、上部が白くその下は黒く見える(そしてサングラスの下からまた肌身が垣間見える)。一方の飛鳥的彼は帽子の全面が黒主体でかつ前髪があり、やや下のほうから顔色として明るい色味が見える構造になっている。彼らの身長差からして、飛鳥のほうがやや上になるため、飛鳥の帽子の上部の白身はトレーラー乗車時においてあの角度では見えていない可能性が高い。(脱出時は上向きになっているため、角度的に飛鳥の帽子上部の白身が見えている)よって、イントロの乗員は、あの2 人のようです。もちろん、たまたま似ているだけで、このトレーラー内の2人は別人で、研究者、もしくは地上世界からの最後の移住者とかではとも取ることができます。当然普通の車での移動は不可能で、厳重な装備をまとったトレーラーでしか移動することは出来ませんでしょうからこれもありえますし、それが一番解釈を狭めることが出来て楽なのですが。しかしこれではこの短いムービーの中においてあまりにも無関係者が登場してしまい意味の薄いシーンになってしまいます。そして監督もわざわざムダにあの2 人に似せるようなことはしないでしょう。やはりあの2 人だと考えるのが妥当です。

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ではなぜあの2 人がトレーラーに乗って地上にいるのか?です。

まず整理すべきは、イントロのシーンに少女は乗っているのか否かです。結論から言えば、NOです。下記の通り、イントロの方は少女を表すものが何もありません。角度的にはイントロ時の方が見やすいであろうはずなのにいないと言うことは、やはり乗っていないのでしょう。

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少女を解き放った後なのでは?と考えることも出来ますが、実際に、車自体異なります。ムービーのラストにもあるように、あの2人が最後に乗っている乗物形式は地下都市脱出時にアルファロメオ(アルファスパイダー的だがこれと照合できるモデルは存在しない。なおスパイダーは1966 年から続いていた初代モデルを93 年に生産を終了し、95 年から二代目に切り替え新たなスタートを切っている)に乗り換えられています。よって、イントロが決してムービーラストの続きではないことは明らかです。

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むしろイントロは「3つ目のエンディングの姿」なのではないか?という仮説も出てきますが、基本的に2つ目のエンディングは少女を見つけるところから始まっていますし、それも無い前提からの想起はさすがに解釈の範疇を超えている(何でもアリすぎる)と思い、私としては省いています

私はあの2 人と見えた後、次のように勝手に想像してます。ムービー終盤について触れてしまいますが、脱出後、2 人は地上の姿を見ても特に驚いていません。もちろんTVなどで把握はしていたのかもしれません。イントロに出てくる横スクロールのシーンにおいて“まったく同じもの”が使われていることから(そして同じ進行方向であることや廃棄原発の位置からも、イントロのトレーラーは地下に戻るシーンと言うよりはより外へ向かっているシーンです)脱出後はイントロと同じ道を通っているのではと。ではなぜ脱出前に地上に行っていたかですが、ムービー中盤以降にあるとおり、彼らは少女を解放するために様々な準備をします。あのような難解なことが出来たことを考慮すれば、きっと準備の一環として外の世界に出ておいたのでしょう。それは、少女を解き放つための場所を探していたのだと思います。外の地上世界を見て、結果、彼らはあそこを選んだのだと思います。外は大量の放射線であふれているのを知っていますから、そこで生きて帰ってくるためにも放射線防護が可能なトレーラーを(盗用して?)使用したわけです(このトレーラーを脱出時に使用して
いる)。よってイントロでの走ってくるトレーラーのシーンは、彼ら2人が、誰にも触れさせたくない何かであるあの少女を、誰にも届かないところへ解き放てるところを探しに行く姿だったと。さらに言えば、トレーラーの中で、「外はきれいだ。きっとこの空だ!」と2 人で喜んでいたかもしれませんね。いずれにせよ、ムービーの本旨から考えれば、ここは誰と捉えても良いと思いますが。

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